『人に好かれる』コミュニケーション④
日本人の優しいコミュニケーション
「日本人はなんでこんなに謝るのですか?」
これは外国の方からよく質問されることです。
専門学校で留学生の方に日本のビジネスマナーをお教えする際、最も理解に苦しんでいらっしゃるのが尊敬語や謙譲語です。そして、クッション言葉に関しては訳のわからない状態。尊敬語は相手を一段上に、謙譲語は自分を一段下におくよう話す言葉です。
『食べる』という言葉は 尊敬語→召し上がる。 謙譲語→いただく。
『見る』という言葉は 尊敬語→ご覧になる。 謙譲語→拝見する。
このように、頭ではわかっていても言葉遣いを覚えるのは非常に大変です。それに比べて、クッション言葉ほど簡単なものはありません。ちょっとだけ話す前に付けたり、お願いする時に使ったりするだけの言葉なのです。それだけで自分の印象がグンと上がるのですから、使わない手はありません。
・申し訳ございませんが…
・恐れ入りますが…
・失礼ですが...
・お手数ですが…
確かに謝る言葉とほぼ同じですね。
しかし私は、外国の方にこう話すのです。「日本人は決して謝っているのではありません。人と人との関係を円滑にするための手段として、この言葉を利用しているのです。」と。
「恐れ入りますが、少々お待ちください。」と言われればただの「お待ちください。」より、快く待っていただけるでしょう。「お手数ですが、お電話いただけますか。」と言われればただの「お電話ください。」より、また電話しようという気持ちになっていただけるでしょう。
日本には奥ゆかしいという言葉があります。
気配りがうまく、自己主張が激しくなく、落ち着いていて、気品に溢れているというさまです。日本人は、奥ゆかしく優しいコミュニケーション力が高いのです。
サービス業において、おもてなしの精神は欠かせませんよね。
このクッション言葉を上手に使うだけで、少し上級なおもてなしをお客様に感じていただきましょう。
カルテをご記入いただく時には…
「お手数ですが、ご記入お願いいたします。」
電話で名前を尋ねる時には…
「失礼ですが、お名前を伺ってよろしいですか。」
受付で聞きずらい時には…
「恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただけますか。」
質問に答えられず困った時は…
「申し訳ございませんが、私ではわかりかねますので担当の者に変わります。」
このように、クッション言葉をつけるだけでずいぶん良い印象になります。
「お忙しいところ申し訳ありませんが」
「失礼ですが今よろしいでしょうか」
など、日頃から身近な人にも使ってみてください。
きっと忙しかった人も手を止め、興味なかった人も何?と親身に話を聞いてくれるはずです。
先日、専門学校の外国の生徒さんが
「先生、恐れ入ります。今お時間よろしいですか?」と休み時間に質問をしてきました。きっと、日本の社会で素敵なビジネスマンになられることでしょう。
私は家族にも友人にも「今大丈夫?」「忙しいところ悪いけど。」などのクッション言葉を使うようにしています。お陰で夫婦円満、ママ友とも良好です!
謝っているのではない。
日本の優しいコミュニケーションに誇りをもち、いい職場、いい家庭、いい環境を自分の手で築いていきたいものですね。
監修/池田友紀
カラー・キャリアコンサルタント事務所代表
ライフカラーコミュニケーションズ主宰。カラーとキャリアコンサルティングを融合した独自のカウンセリング活動を行い、美容業界においてもマナーコミュニケーションやライフカラー、カウンセリングセミナーなどを行っている。
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